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HEAVEN'S BETRAYER (仙戯著) 作品直リンク HOME

ジャンル:近未来SFファンタジー
長さ:長編/完結
紹介文:
 世界を統べる宗教<ヘブン>。その教義において「異端」とは、「オッドアイ」「金銀妖瞳」「義眼」など、目に異常を持つ者のこと。「異端」は存在こそが悪であり、すべからく排除する対象だ。しかし、左右異なる瞳の色を持つメノウは、賞金稼ぎを生業としながらもそのような教義に怯えてはいなかった。そればかりか、彼女は殺すことにためらいなど見せず、かくも冷淡に語るのだ――「今じゃ世の中は、ゲームなリアルよ」と。
 近未来を舞台にしたSF色の強いファンタジー小説。アクションあり、笑いあり、広がる世界観はさながら舞台となっている宇宙のよう。個性豊かな登場人物たちと緻密な設定が読者を虜にすること間違いなし。時間を忘れて楽しみたい方、読むべし。

冒頭文章抜粋:

 いきなり壁の中から出てきた女子高生に、黒いスーツの男達は為す術もなく倒された。
 三人いた見張りの男達が突然の闖入者に呆気にとられた瞬間、一人は喉に右の手刀を、一人は顎に掌打を、一人は腹に前蹴りを、それぞれ避けることも出来ずに直撃を受けた。二人は声を上げる間もなく気絶し、腹に一撃を喰らった男は腹を抱えて呻きつつも意識を保っていたが、
「!」
 突如、唇と歯を押しのけて口内に入ってきた鉄の感触に、喉を引きつらせた。今時鉄製という古くさい拳銃を口に突っ込まれた男は、全身の筋肉を硬直させた。だがそれでも相手の顔を確認する事だけは忘れなかった。
 ミラーシェードで顔を半分隠した、黒髪の女子高生だった。何故『女子高生』と思ったのかというと、この店が女子学生専門の『売り』の店であり、相手が彼のよく知る女子高の制服を着ていたからである。もしかすると実際には『女子高生』とは呼べない年齢の女なのかもしれないが、それよりも現時点で彼にとっての最大の問題点は、口の中に滲む鉄の味だった。体を動すどころか、声も出せない。

2003.06.10 現在
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ハイバス (めきしこ著) 作品直リンク HOME(※強制MIDIあり)

ジャンル:現代モノ(?)
長さ:短編/読みきり
紹介文:
 海辺の片隅、打ち上げられた魚みたいに並んだ漁船たちの1番隅っこ、そこに置き捨てられた廃バスが――僕らの秘密の場所がある。僕も、ゼッペも、トクちゃんも、ユウジもサトルもヨッシーも、その“秘密の場所”で全員そろって驚いた。だって、僕らの廃バスが動き出したんだ!
 一人称で語られる現代もの短編。作品全体に漂う、懐かしさと優しさが読んでいて非常に心地よい。また、不思議さの満ちた冒険譚でもあり、先の展開が気になりながら最後まで読めてしまう作品だ。

冒頭文章抜粋:

一体いつからこのバスがここにあったのか、誰も知らない。
確かなことは、僕らの生まれるずっと前から、ここにあったということ。
海辺の廃バス・・・そう、それは僕たちの秘密の場所。

その日、小学校が終わったのは3時20分。五月の暖かい風の中、僕はゼッペとトクちゃんと一緒に、校庭の金網の破れたところから浜辺へ続く小道を歩いていた。
ゼッペ。不思議なあだ名に聞こえるかもしれない。でも、ゼッペの頭を横からみると、誰だって納得してしまうに違いない。そう、ゼッペの後頭部は見事な絶壁!絶壁のゼッペなんだ。

2003.03.20 現在
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翡翠抄 (十和田茅著) 作品直リンク HOME

ジャンル:異世界(?)ファンタジー
長さ:大河/連載中(不定期更新)
紹介文:
 “彼”との出会いを夢の中で繰り返し、サラは子供を身ごもった。その、やがて生まれ来る新しい命が、別の世界で新たなる物語を綴る存在となるとは知らずに……。
 現代の世界と異世界が夢を媒介にしてつながっている、一風変わった異世界FT。読みやすい文体、キャラクターの個性に加え、行間から漂う「生活」観も他作品とは異なり新鮮です。

冒頭文章抜粋:

 天井の瓦解した石造りの廃屋は斜めに射し込んだ朝の光によって白く輝いていた。
 あたりは清浄な空気に満ちていた。そこが神殿であった頃の名残のように。
 そのさらに奥、祭壇のあったであろう場所に、二人の少女が跪き祈りを捧げていた。
 全く同じ顔をした二人の少女は、ただ髪の色だけが異なっていた。金と銀。だがそれがさらに二人を一対に見せていた。
 二人は熱心に何を祈っているのだろうか。
 この時点で、それは誰も知らなかった。

2002.06.06 現在
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平原<heigen> (Deco著) 作品直リンク HOME

ジャンル:ファンタジー
長さ:長編  掲載形式:完結
紹介文:
 篝火(かがりび)――木々の合間にできた空間で、炎は天へと手を伸ばす。
 それは、再生の祭りの始まり。そして、可南・可北、2つの山に住む猫たちが辿った軌跡を照らし、導く新たな狼煙……。
 生と死、連なる感情と運命とを歩む「猫」たちの壮大な物語。何度でも読みたいと思い、何度でも泣ける、まさに名作。

冒頭文章抜粋:

 篝火だ。

 岩だらけの急斜面にごつごつと根を張ったたくましい木々に、山はうっそうと被われている。針葉樹の森だろうか? 数百年の間黙々と生き続けてきた老齢な松や、杉の巨木。
 下生えの潅木の間を、湿った木の葉や枝を踏みしめて、抜けて行く足音がある。まだ雪の残る危険な岩肌を、もう日も落ちた薄暗がりの中を、若々しくまるで走るように渡ってゆく。やがて枝の隙間からちらちらと漏れ見えてくる灯り。木々を切り開いて作った広場から、熱を帯びた生き物達の気配が漂ってくる。

2001.08.25 現在
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