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天使をやめないで (上庄巧馬著) 作品直リンク HOME

ジャンル:近未来(異世界)ファンタジー
長さ:長編/連載中
紹介文:
 龍香(ロンシャン)……かつて、アルビオンから華国へと返還されたこの都市は、多大な犠牲を払い、今では自治都市として存在している。杏樹(あんじゅ)も、この都市に住む者のうちの1人。ただし、彼は人に知られざる一面を持っていた。龍香の非公式自衛組織、通称<天使>――彼にはその名の下、数多の過去と記憶と傷が刻まれているのだった……。
 香港・シンガポールをモデルとして書かれた現代風味の異世界ファンタジー。キャラクター個々の個性はもちろん、舞台となる龍香を中心とした列国の関係と情勢など、見所は1つと言い切れない、多面的面白さのある小説である。ただし、15歳以上推奨作品。

冒頭文章抜粋:

 風の音が耳を貫いた。
 乾いた空気があたりを押し包む。この雰囲気を静寂と思いこんでしまうのは、足元に落ちる沈黙のせいだろうか。
 目の前にうずくまる少女は、顔を伏せたまま。むき出しになった肌を隠すように両腕でおのれの肩を抱いている。
「見ないで」
 そういった彼女の言葉を、完全に無視していた。彼は憑かれたように見つめる。彼女の肌に這う、黒い蠍の紋章を。
「これが、この娘の正体だ」
 勝ち誇ったような声が響いた。少女の傍らに立つ、中年の男。西洋人らしからぬ風貌の彼は、茶色の瞳をずるそうに煌めかせる。無骨な手が伸ばされ、少女の肌に触れたとき、彼女は弾かれたようにその場を離れた。

2002.03.20 現在
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天空の鬼 (己岬佳泰著) 作品直リンク HOME

ジャンル:本格推理
長さ:短編/(問題編+解答編)
紹介文:
 夏休みも終わろうという頃、ビーチタウン遊園地で奇妙な殺人事件が起こった。椎名由岐の会社の社長、美岬功一郎の元に学生時代の友人、御前崎が訪ねてきたのは翌日のこと。彼は警視庁の警部補であり、彼からビーチタウンの事件の詳細を聞き始めた由岐は、帰るのをやめ、美岬と謎に迫る。それは、密室の殺人事件だった……。 ――読みやすい文体と展開でミステリの好き嫌いに関わらず熱中できる作品。結末は好みが分かれるかもしれない。

冒頭文章抜粋:

 平成13年8月30日付毎朝新聞朝刊第14版記事。
「楠木外相、北海道訪問を急きょ取りやめ。外務省によると楠木外相は今朝になり突然、家族同伴で予定していた北海道こども祭りへの参加を取りやめると発表した。体調不良で入院したという噂も流れたが外務省はこれを否定、楠木外相は朝から都内紀尾井町のホテルに滞在していると説明した(以下略)」

2002.02.20 現在
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沈黙の太陽 (上庄巧馬著) 作品直リンク HOME

ジャンル:異世界ファンタジー
長さ:長編/完結(シリーズ1作目:続編連載中)
紹介文:
 大陸に文明をもたらした四帝のうち、全ての「はじまり」と「おわり」を意味する<黒帝>は、別称を<沈黙の太陽>という。黒髪黒瞳のルディアスは、行き着いた土地で、その<沈黙の太陽>という名を冠する魔術師と間違われてしまう。それが彼と<沈黙の太陽>の出会いのきっかけとなり、運命の歯車が回り始めた――。独特の世界観に表情豊かなキャラクターたちが何よりも魅力的。この1作では謎は解明しきれていないため、長く楽しみたい人にオススメ。

冒頭文章抜粋:

 軋みながら重い鉄格子があげられていく。何年ぶりだろうか。この扉が開くのは。
 彼は四肢を鎖につながれたまま、目の前に開ける空間を見つめた。闇に慣れた目には、燭台の明かりですら眩しく感じる。彼は激しく瞬きした。そして。細い明かりの向こうに二人の人影を認める。薄紫の長衣を纏った壮年の男と、その付き人らしき老人である。老人の方は見覚えがあったが、長衣の男は知らぬ顔だ。この衣は神官にのみ許された衣装である。と、いうことは先代の神官が死んだか任期を終えたのかで代替わりしたのだろう。彼はそんなことをぼんやりと考えた。

2002.02.20 現在
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